先日、徒歩で買い物をしていたところ、高架下をくぐる道で前方から歩いてきた犬が引っくり返った。その犬はヨークシャテリアで背中を地面に付けて動こうとする気配が全くない。
その犬を連れていたのは初老の夫婦らしき二人組みでその犬の仕草を可愛い可愛いと言っていたが、その犬の目には愛嬌を振りまこうとする意識は感じられず、どちらかと言えば悪意を漂わせていた。
すぐ脇を通りかかったとき、犬としっかり目が合ってしまい、何か言葉が頭に浮かんできた。
「日陰のない道を延々と歩かされて背中が焼けるように暑いです」 「ここは冷たくて気持ちいいです」 「それにしてもコイツらと来たら歩くのおっせえし、こちらはそれに付き合わされて熱された地面の上を延々と歩かされるのは辛いどころじゃねーよ」 「あー、コイツら老人?歳を取ると熱さとかわかんねーの?」 「すっげ、急かされてっけど体を冷やさないと死にそうだから、ガン無視確定」
あー、確かに昼だし影が短いね。そりゃここはあまり日の当たらないところだから、ひんやり具合は相当だろうよ。それに初老の連れが笑っているのも相当気に食わないんだろうな。風が涼しい日だったが、日差しは結構強かったから小型犬にしたら大変なのかね。犬の気持ちを考えたら初老に暴力を振るうべきだったが、頭のおかしい人と思われてしまうので手を出さなかった。結果的に子犬を見殺しにしたのと同じことをしてしまった。
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